予防接種とは

私たち人間の体には、一度侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体が、再び体内に入ってきたときには、その病原体に対応する準備をしておくことで、病気にならないようにする仕組みが備わっています。それが免疫システムです。この仕組みを利用したのがワクチンです。予防接種は、このワクチンを接種することにより、一人一人が病気に罹る可能性を低減し、さらには社会全体に病気が蔓延することを防いで、住民の方が健康的な生活を維持できることに役立つものです。
ワクチンの種類としては、生きたウイルスや細菌の毒性を最大限弱め、病原体をそのまま使用する「生ワクチン」、ウイルスや細菌を加熱処理、フェノール添加、ホルマリン処理、紫外線照射などで無害化した「不活化ワクチン」、細菌の毒素だけを取り出してホルマリン処理を行い、無毒化した「トキソイド」などがあり、さらには病原体の設計図やその一部を、別のウイルスやDNA、mRNAに乗せて投与するものなど、日々、進化しています。
当院では、成人向けのインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンなどの予防接種、小児向けの定期接種および任意接種を行っています。
- 風しんの抗体検査・予防接種について
昭和37年度~昭和53年度生まれの男性は、公的に予防接種が行われていないため、厚労省から風しんの抗体検査と予防接種を受けるようにクーポン券が配布されています。当院でも抗体検査・予防接種を行っておりますので、ご希望の方はお問い合わせください。
成人向けの予防接種
インフルエンザワクチン
インフルエンザは風邪に似た症状を発症する感染症です通常の風邪と比べて特徴的なのは、38度以上の高熱が出ること。さらにのどの痛みやくしゃみ、鼻水、咳等に加え、頭痛や関節痛、筋肉痛なども現れます。また急激に発症するのも特徴のひとつです。
インフルエンザは通常、1週間~10日で症状は改善します。しかし、高齢者や喘息、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、糖尿病など代謝疾患等の持病があると、重症化する場合があります。またインフルエンザにかかることにより、体力や免疫力が落ちると、他の感染症にもかかってしまい、さらに重篤化する恐れもあります。そうしたことを防ぐ意味でも、インフルエンザの予防接種を受けることをお勧めします。
インフルエンザは毎年変異し、その構造を変えていきます。それに合わせて、毎年のワクチンの内容も決定されます。ですので、インフルエンザを予防するには、毎年、予防接種する必要があります。ワクチンの効果を最大限に生かすためには、毎年の流行前の11月中旬くらいに接種するのが望ましいでしょう。これは、接種したワクチンが効果を発揮するまでに約2週間かかり、効果の持続期間が5カ月ほどだからです。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は鼻やのどの奥によくみられる細菌で、通常、免疫力があれば発症することはありません。しかし、免疫力が低下していると、肺炎や髄膜炎、敗血症、中耳炎などを発症する場合があります。高齢者や、循環器・呼吸器等に持病のある人は免疫力が低下している可能性があり、肺炎球菌に感染し、しかも重症化のリスクが高まります。
日本人の死因の上位に肺炎は位置しており、肺炎で亡くなる95%の方が、65歳以上となっています。そして肺炎球菌は、高齢者の肺炎の原因として最も頻度が高いと言われています。肺炎になることで、命が危険にさらされるだけではなく、治癒した後にも影響が出てしまいます。一度傷ついた肺は元には戻らず、肺炎を繰り返したり、合併症を引き起こしたりします。そうすると次第に全身が弱まり、要介護状態になってしまうリスクも高まります。
肺炎球菌の予防接種は、健康寿命を延ばし、人生をより長く楽しむための一助となります。インフルエンザにかかると肺炎にもかかりやすくなりますので、インフルエンザワクチンおよび肺炎球菌ワクチンを 併せて予防接種することをお勧めします。
- 上記以外の予防接種をご希望の方はお問い合わせください。
小児向けの予防接種
小児の定期接種
小児を対象とした予防接種には「定期接種」と「任意接種」があります。「定期接種」は発症すると重症になったり、後遺症の危険性がある疾病を対象としたもので、接種を受けることが努力義務となっています。また「定期接種」は国が定めた期間に接種すれば、費用の補助を受けられます。
定期接種の対象になるワクチンと対象年齢期間は以下になります。
- インフルエンザ菌b型(ヒブ)【不活化ワクチン】
- 生後2カ月以上5歳未満
- 肺炎球菌【不活化ワクチン】
- 生後2カ月以上5歳未満
- DPT-IPV【不活化ワクチン】
(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ混合) - 生後3カ月以上90カ月未満
- BCG【生ワクチン】
- 1歳未満・標準的な接種期間は生後5か月以上8カ月未満
- MR(麻疹・風疹混合)【生ワクチン】
- 第一期/生後12か月以上24カ月未満
第二期/5歳以上7歳未満
(計2回接種) - 水痘【生ワクチン】
- 1歳以上3歳未満で3カ月以上の間隔をあけ計2回接種
- 日本脳炎【不活化ワクチン】
- 小児時に計4回接種
- DT(ジフテリア・破傷風混合)【不活化ワクチン】
- 11歳以上13歳未満
- ヒトパロマーウイルス【不活化ワクチン】
- 小学校6年生以上~高校1年生の女子 標準接種は中学1年生
小児の任意接種
「任意接種」は、文字通り任意のもので、基本的に全額自費となります(自治体によっては保補助がある場合があります)。
任意接種としては以下のようなものがあります。
- B型肝炎【不活化ワクチン】
- 小児における任意接種は以下のようなものがあります。
母親がB型肝炎キャリアの場合/新生児から乳幼児(母子感染予防のため行います。健康保険が適用されます)。
上記以外も任意で接種できます(保険は適用されません) - おたふくかぜ(ムンプス)【生ワクチン】
- 1歳以上 集団生活に入る前、MRワクチン接種後なるべく早く
(同時接種も可能) - インフルエンザ【不活化ワクチン】
- ・生後6カ月以上および生後6カ月~12歳/10月ごろから2~3週間開けて2回接種
・13歳以上/10月ごろから1回接種